10年

今から丁度10年前、陸上自衛隊初の本格的な特殊部隊である特殊作戦群創設にあたり、その衛生関連の技術を学ぶべく米国はノースカロライナにあるフォートブラッグJFK特殊作戦センター・アンド・スクールに留学をしていた。留学中にOIF(イラクの自由作戦)が始まり、帰国後の翌年には第5次復興支援群の要員としてイラクの地を踏んだ。
留学間、休憩時間に流されるレーザーガイドミサイルや空爆による戦果の数々とそれに熱狂する若い兵士達。自分の部屋に戻って付けたテレビは延々とこれが正義の戦争であると訴え続けていた。

インターネットから得られる情報との乖離。だから薄々気付いていた、大量破壊兵器なんて無いって事、これが口実作りのための欺瞞であるって事。しかし現状に流され、任務として彼らから多くを学び、持ち帰り、多くの自衛官にそれを伝え、イラクへと赴いた。自衛隊は米軍と違い確かに現地の人に愛された。しかし私は無罪であると言い切れるか?ずっとそんな事を考えていた。

そしてまた同じ事が起きようとしてる。
通常兵器で優位な立場にあるシリア政府が化学兵器を使用するメリットは全くと言って良いほど無い。戦略的妥当性に欠け、圧倒的に反政府勢力に有利に働く「化学兵器の使用」を一方的に政府側の行為と決め付けるこのやり方は、10年前のそれと同じではないか。オバマは大統領権限を行使しない事でその責任を分散させた。本当に正義が有るならアメリカ人は喜んでその権限を行使するだろう。それをしなかった、それで十分だ。
この10年でインターネットは大いに進化し普及した。10年前止める事が出来なった事、今なら止める事ができるだろうか?